技術の家庭菜園

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AKG Y40がクソだったのでK404のドライバを移植した話

技術ブログ的なモノには昔からお世話になってきたが、ついぞ今まで書く機会は無かった。
しかし最近自分も少しは書かねばと思い始めたので、最初の記事である。最初なので、ちょっと長い記事な気がする。

AKG Y40を購入した

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 8年間使ったAKGのK404が先日壊れてしてしまった。
これまでにケーブルをオヤイデのHPC-26Tに、コネクタはカナレのF12に、イヤーパッドはK450用の物に、ケーブルブッシュも色違いのものへ変えたりなど愛着を持って弄り倒してきたヘッドホンだ。
買った当初は2000円程度だったはずだが、それに見合わない素晴らしい音を鳴らしてくれた。
しかし、それのヘッドバンドが壊れてしまったのだ。こうなると直すのは面倒なので新しいものを購入した。同じくAKGのY40である。

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AKGは私の愛するメーカーの一つだ。ポータブルヘッドホンも出しているが、今はY40とY45BTしかない。ワイヤレスには興味が無いので、Y40を購入した。2790円。
しかし、これがとても酷かったのである。
ひたすら音がこもる、モコモコした音しか出ない。
低音は量こそ出ているものの、全く解像しない。中高音域は引っ込み、ヌケが悪い。
良いことは、片出しケーブルであったこと、デザインがそこそこカッコイイこと、しっかりしたケースが付いてきたこと、それだけである。
AKGのC120にリケーブルすると高い解像度で音楽をお楽しみいただけます」などと公式は言っているが1mのケーブルに8000円なぞ払えない。だったらこのゴミをすぐさま捨てて新しいものを買う。
それよりコイツはケーブルを変えたところでなんとかなるような物ではない。リケーブルでどうにかしようと思うのが間違いなのである。

改造計画

なんやかんやで一ヶ月間は自分を騙しながら使ってきたが、いい加減限界が来ていた。さて、このゴミを捨ててポタプロでも買おうかと思案していた時、私の目に飛び込んできたのは壊れたK404である。
K404は別にヘッドバンドが折れただけである。音は、元気に鳴っている。
ヘッドホンは所詮ドライバ(スピーカー部)をケーブルで繋いだだけだ。
そして同一メーカー、カタログによるとドライバ口径も同じ。もしかしたら移植できるのかもしれない。
どうせどっちも捨てるのだ。壊しても良い。やってみるしか選択肢は無いのだ。

K404の分解

まずK404の分解からだ。ヘッドホンの側面部に繋ぎ目がある。ここにカッターなどを通し、接着剤を切断する。f:id:tpcbtw:20180519153633j:plain
接着剤が切断できたら厚いカッターやドライバーの先を使い、てこの原理でこじ開ける。
リケーブルをしたければここからはんだを剥がし、新しいケーブルと付け替えるのだが、今回は更にドライバを剥がしていく。
邪魔になるのでケーブルを切断し、黒いスペーサーも剥がす。
ドライバの外周に沿って、先程と同様カッターで接着剤を切断する。

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接着剤を切断したら、また先の細いものでドライバを持ち上げていく。

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ドライバが分離できた。K404は左右で構造は同じだ。もう片方も同様に行う。

Y40の分解

次にY40側の分解だ。こちらはイヤーパッドを剥がさなければならない。
イヤーパッドを剥がせばネジが見えるのでこれを外す。加えてこちらも円周上に接着剤でくっついているので、カッター等で外周に沿ってそれを除去する。

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左右ともに分解できた。左にはコネクタ部分が付属されており、右と構造は異なる。

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それにしてもほっそい内部配線である。これでは8000円のケーブルを繋げたところで元も子もないのではないかなと思う。
こちらもドライバ部分の摘出をしていく。作業のジャマになるのでまずははんだを剥がしておく。
そして今まで同様に接着剤を剥がしていくのだが、これが中々に厄介だ。接着剤と言うより円周上に両面テープのような物が張り巡らされている。千枚通しなど針状のもので少しずつ引っ張り出していく。

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時間はかかるが比較的きれいにドライバは分離できた。

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ドライバは全くもって同じ口径である。厚さは若干違うが、最大厚みはほぼ同じ。なんとかなりそうである。

再組み立て

ドライバを付け替る。と言ってもK404のドライバをY40のイヤーパッド側のプラ上に乗っけるだけである。必要であればエポキシ樹脂等で固めればいいと思うが、後で微調節が必要なのでここでは固めないことをお勧めする。

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K404のドライバに内部配線をはんだ付けする。内部のリングをケーブルに通しておく事を忘れずに。そしてこの時極力薄めにはんだ付けする。というのも厚さがギリギリなのだ。イモはんだだと内部のプラリングと干渉する。(写真は悪い例)

あとは逆手順で組み立てるだけだ。内部のリングはケースにはまり、そして少し凹みがあるところがドライバが出っ張っている回路部分だ。そこに回路を設置しないと干渉する。イヤパッド側の部品は写真右手、の飛び出ている部分がある方が下である。そしてそうなるようにドライバとプラ部品を固めるとよいだろう。左右でドライバの上下が異なるから注意してほしい。

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固定したら最後にネジを締める。内部のプラリングとドライバが少しは干渉すると思うので締めづらいかもしれないが、まぁ気にせず締めた。
イヤーパッドを付けたら、完成である。意外と簡単で1時間程度の作業だった。

改造後の音

音は、まったくもって別物である。というかドライバが変わって音が変わらないはずはない。リケーブルなんて半分オカルト突っ込んでる物とは話が別なのである。
K404時代の全盛期に比べれば解像度は落ちた。しかし音のバランスは申し分ない。全く問題なく聞ける音が出てくる、
音のこもりは、かなり低減されたがまだ若干ある。これはハウジング側の影響かもしれない。
少し不満は残るものの、十分に合格点である。
流石にもうこれをゴミだとは思えなくなった程度には改善された。

ついでにリケーブルも

少しは愛着が出てきたのでリケーブルもしてみた。ケーブルは8000円のなんぞ買えやしないので自作である。
コネクタは秋月とマルツで買った適当なもの。ケーブルはストックがあったオヤイデのHPC-26Tを1.5m。8000円のケーブルに比べれば600円/mとお安いケーブルだが、普段カナレのL4E6Sとか4S6とか使ってる私にとっては超高級品である。L4E6Sの6倍くらいする。f:id:tpcbtw:20180519153630j:plain

適当にはんだ付けして完成。
ケーブルを変えて聴き比べをしてみるが、ぶっちゃけ大差ない。
そもそもリケーブルに対してかなり否定的な自分であったが、より懐疑的にならざるを得ないような状況である。
注意して聞けば差はある気がするが、ブラインドテストして当てれる自信はない。まぁ自分が糞耳だということもあるが。
それに上で書いたように内部配線自体が細いのだ。実際にそこまで差は生まれないだろう。
ケーブルの材料代的に1000円以上したし、もうちょっとどうにかなって欲しかったものだが、まぁケーブルなんてそんなものなのかもしれない。

 

次にやるとしたら内部配線の交換と、コネクタ部の交換、音のこもりを改善するために吸音材を詰めることだろうか。正直どれもあまりやる気が起きない。
まぁ外出時用のヘッドホンであるし、そこまで音にこだわりがあるわけでもない。
気が向いたら手を付けよう。