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Seagate ST8000DM004だけは買うな

Seagateは買っていいけど、ST8000DM004だけは買うな。

概要

Seagate ST8000DM004はSeagate BarracudaシリーズのHDD製品であり、同社の8TBのHDD製品、更には市場の8TBのHDD製品では最も安価な製品*1である。当該製品に関して、今回13台、全体稼働時間25万時間を運用・記録した結果を報告する。

結果、2万時間以上運用されたディスク群に対する分析で、平均故障間隔(MTBF)は28,929時間であり、他HDD製品が30~150万時間を公称する中、極端に短い値となった。

また各時間における生存率を考えたとき、
1万時間生存率:100%
2万時間生存率:78%
3万時間生存率:14%
であり、家庭用ニーズとして想定される2~3万時間で急激に故障は増大した。

上記より、本稿ではST8000DM004の購入を敬遠すべきであると結論づける。

故障状況

導入したST8000DM004、13台のうち、7台で故障が発生した。故障の内訳は、

不良セクタ(05/C5/C6):5台
IOエラー(タイムアウト・認識不良):2台

であった。故障の発生時間はそれぞれ、

18304時間, 10517時間, 31099時間, 22546時間, 26574時間, 22873時間, 24882時間

であり、下記故障時間のヒストグラムを見るに25000時間前後での故障率が高いことが伺える。

故障時間ヒストグラム

生存ディスク

一方で24年3月時点で生存しているディスクの稼働時間は下記に示すとおりである。*2

9393時間, 14099時間, 22855時間, 19401時間, 22855時間

稼働時間に1万時間以上の差があり、サンプル数も少ないため、確かなことは言えないが、25,000時間以上稼働するディスクは現存していない。

平均故障間隔(MTBF)

現在稼働中のディスクのうち、稼働時間が少ないディスクをMTBFの計算に含めると、総稼働時間が水増しされ、MTBFが長く見積もられるという課題がある。
そのためここでは同水準での比較を行うため、2万時間以上稼働された場合のMTBFを算出する。2万時間以上稼働した生存ディスクと、全ての故障ディスクから算出されたMTBFは下記となる。

MTBF=202,505時間(総稼働時間)/7回(故障回数)=28,929時間

なお生存ディスクを含めないとMTBF22,399時間と見積もられ、これは概ね、私感のST8000DM004の故障間隔と対応している。

生存率

ここで生存率は、ある時間点を超えて稼働している製品の数に対し、その時間点までで故障したものと稼働している製品の和で除したもの数を基にする。
運用された12台の結果をもとに、生存率の時間変化は下記のように示される。

生存率

2万時間でおおよそ、2割程度が故障し、2.5万時間までで急激に故障が進展、3万時間ではほぼすべてのディスクが故障する。
私の運用しているディスクで、3.2万時間を超えて運用できたST8000DM004は存在しなかった。

結論

ST8000DM004だけは買うな。

*1:24年3月現在

*2:13台のうち1台は記録の取得が困難なディスクであり、以降分析対象とするのは12台である。