ギター弾けません。木工出来ません。
あと今回は技術ブログっぽくないです。まぁそれはいつもか。
- チラ裏に書くべき事の始まり
- Fender CD-60S All-Mahogany
- サイド穴の補修
- 指板浮きの再接着
- ヘッド塗装割れのタッチアップ
- ネックジョイントの塗装割れ補修
- エレアコ化(プリアンプ取り付け)
- ブリッジピン交換
- 総括
チラ裏に書くべき事の始まり
ある日、普段行かない百貨店の本屋に足を向けてみた。
その百貨店にはCDショップ兼楽器屋のような店があり、品揃えが貧弱なので普段は見向きもしなかったのだが、その日は違った。
閉店セールをやっていたのである。しかも、全品50%OFFと書いてある。
その言葉に惹かれて楽器を眺めるが、酷い品揃えだ。計10本ほどだろうか。そんな中で1本だけ目に止まったギターがあった。
「28400円(税抜)傷有り特価!」と書かれたそのギター。とりあえず見た目が強かった。それより良いギターは当然あったが、マホガニートップのその色は特に目を引いた。
CD整理をしていたオバちゃんに「これちょっと試奏いいですか?てか傷ありって?」と聞くと、
「あぁこれね…実はここにね…」
と苦笑しながら見せてくれた。
そしてそこにあった傷を見て思わず私は笑ってしまった。
「こんな状態だから…正直これはお勧めできないんです…」
「まぁとりあえず試奏させてください。」
オバちゃんが万引防止タグを外すのを手伝い、そのホコリまみれのギターを手にする。
「えっと、チューナー貸して頂けると有り難いんですが…」
「あ、そうだね。ちょっと待って下さいね。」
楽器屋の店員ならポケットにそんな物入っていそうだが、というか店員がチューニングしてくれそうなものだが…まぁそれはいいとして、2,3分店裏でゴソゴソやって2つのクリップチューナーを取り出してきて
「どっちか使える方で…」
と言う。できたら使えるものだけを貸してほしい。片方は電池切れだった。
チューニングが終わった頃、どこかに行っていたオバちゃんが戻ってきた。
「どうですか?ちょっと聞いてきたんですけど、そんな状況ではあるんで税込み1万ということで…」
「うーん、もうちょっと詳しく見せてもらっていいですか。あとピック貸してください。」
やっぱり1分ぐらい裏でゴソゴソやってピックが出てきた。
10分くらい音を出したり、ライトで傷の状況を見ていたら今度は店長らしき男性がやってきた。
「どうですかね?ちょっと、状態が悪いかとは思うんですけど…」
「これは笑っちゃいましたね。でもまぁ音は出ますね。」
「そうですね…音は…まぁ…えっとぉ…そうですね…7000円税込みってことで…」
ちなみに、まだ私は値切ってない。
だがしかし、この15分くらいの間に税込み31240円のギターが、半額の15620円になり、10000円になり、7000円になった。
おそらく本当に閉店で在庫処分したいんだろう。
ここで更に値切る胆力、というかコミュ力は私には無い。
「うん、じゃぁ7000円でいいんで、なんか付けてください。そこのカポとかほしいです。」
ということで、その後いろいろあって、まぁ本当にいろいろあって、以下の商品がついてきた。
将来の夢は駅近くの裏通りで電子部材と音響部材を扱う小さなお店を開くことです pic.twitter.com/SdjT49RcNj
— ねい (@tpcbtw) February 14, 2020
ウン万円相当のオマケなので流石に7000円とはいかず、もう少しお支払いしたがもうギターの価格なんて実質タダみたいなもんである。
購入後、やたらと感謝された。やっぱりもっと値切るかせびるかしとけば良かった。
Fender CD-60S All-Mahogany
導入が長くなった。ということでほぼタダで購入したギターがこちらである。
インドネシア製のFender CD-60Sのオールマホガニー仕様*1である。
そして「傷あり特価!」の理由がこちらである。
傷ってか、穴である。
おそらくボディを下にして派手に落としたであろう。ボディトップの端に塗装割れ、ネックジョイントに塗装割れも見られた。
そして買ったあとに家で派手に落として、ヘッドに大きな塗装クラック、そして指板の浮きができた。
まぁ普通なら結構ヘコむような大きな傷であるが、そもそもの状態がアレなので欠片も気にならなかった。あまりにも無感情過ぎて、写真さえ撮ってなかった。
サイド穴の補修
さて、それではコイツを直していこう。最初はサイド材の穴だ。
まずは軽く塗装を剥がし、アイロンやドライヤーで熱をかけつつ、中から棒で押し出すして、ざっくりと形を出す。
形が出たら濡れたウエスの上から半田ごてを当て更に形を整える。
とりあえずパット見フラットになるところまで押し出した。マホガニーが思った以上に固く、とてつもなく苦労した。
形が出たら、これを接着する。注射器を使いタイトボンドを流し込み、加圧。
固まったらタイトボンドの余計な箇所を削るため、ペーパーがけである。
ペーパーを書けると凹凸がはっきりとしてくるが、どうやら押し出しが足らなかったらしい。
本当は色まで剥がす気は無かったのだが、削っていったら中途半端に色も剥がれてしまった。
しかし、そろそろ削るのにも飽きてきたので、もう上から塗装することにする。
木工塗装とかよくわからん。塗装といえばラッカースプレー吹くくらいなもんである。
とりあえず何種類か100均のニスを試して、何か違うなぁと削る作業を2週間くらい毎日やってた。この作業が一番ツラかった。
最終的には木工ニスを2種類10回ほど重ね塗りとペーパーがけして、何とか近い色になった。
それでも塗装が残っていたところは浮いて見えるし、光加減で補修痕は丸見えなのだが…。
ここらへんで塗装にも飽きてきたので、最後にウレタンクリアを吹いて仕上げ塗装する。
別にラッカーでも良かったのだが、元がポリなのと私はよくギターをパーツクリーナーで清掃するのでポリ塗装にすることにした。
塗装後、液垂れや塗装の段差を耐水ペーパーでざっくり消して、コンパウンドで磨いて、コンパウンドを切らして仕方なくピカールで磨いて、まぁいろいろやって。
そんでもって補修後のサイドはこのようになった。
綺麗とは口が裂けても言えないが、直ったには直ったと言っていいのではないか。
指板浮きの再接着
さて、ここからはテンポよく行こう。サイドの穴に時間を取られ、実際他の補修は適当である。
指板の浮きは注射器でタイトボンドを流し込み、クランプで固定して終わりである。
Cクランプがかかるところは作業が楽でいい。
固着後、ボディ横を塗装する時に残ったウレタンで上塗りしてペーパーで削った。
色が剥がれているところは放置していたので少し目立つが、気にしてない。
ヘッド塗装割れのタッチアップ
まずは割れた塗装を除去する。木も少しひしゃげていたので、当て木をした上でクランプで加圧し補正する。
数日放置したら軽くペーパーを掛けたあと、ラッカーを筆塗りしタッチアップした。
3,4回上塗りしたところである。木が欠けてしまっているため、段差が出来ているが、塗装面としては気にならない程度にはなっている。まぁこれでいいや。
ネックジョイントの塗装割れ補修
ネックジョイントにあった塗装割れは正直補修するまでも無い気がしたが、まぁ一応ペーパーかけて、ウレタン吹いた。
目立たなくなったが、割れが深く、後が残った。
ラッカーでタッチアップしたほうが良かったかもしれない。
エレアコ化(プリアンプ取り付け)
さて、修理は以上であるが、もうここまでやったらこのギターは実用というよりも実験用なのである。
ということで、プリアンプとピエゾマイクを設置しエレアコ化することにした。
ここはノリと勢いでやったので写真がほぼない。
Yibuyのアコースティックギター用プリアンプ*2を購入した。ジャンク楽器愛好家なら知ってる人も多いだろう中国メーカーである。
まずはサイド材に位置をざっくり決め、てきとーにドリルで穴をあける。穴を開けまくって蓮コラみたいになったら玄能でぶちぬいて穴を開けた。あとはヤスリなどで現物合わせをすればサイドは終わり。
ボディに穴を空けるのを躊躇する人も多いだろうが、ノリと勢いがあれば大丈夫である。少なくともこのギターに穴を開けることに躊躇は無かった。
次にサドル下のブリッジ6弦側に穴をあける。サドル下にピエゾマイクが入るので、取り外したサドルはヤスリで削って高さを調節しておく。(写真がない)
最後にジャックの取り付けだ。エレアコのジャックをどこに付けるかは賛否があるかもしれないが、私はストラップピンと兼用なのが好きだ。
ボディエンドのストラップピンを外し、ここにもドリルで穴をあける。
普通はここは薄い箇所のハズなのだが、安ギターの宿命なのか、分厚い補強材が入っていた。
まぁ関係なくぶち抜いて付けた。強度は知らない。
あとは各種正しい位置に設置して配線したら音が出る。説明書が無いが、まぁ基本は直感でなんとかなる。
音は、タダのギターと2000円のプリアンプにしてはとても良い。
ピエゾ以外にも内蔵マイクがついており、ボディの音をミックスできるのが面白い。
これは良いおもちゃである。
ブリッジピン交換
最後にエンドピンの交換をする。
もともと付属しているエンドピンがプラスチック製の安い白色のものであり、常々交換したいと思っていた。
プリアンプを購入する時に同じメーカーでエボニーのエンドピンを買っていたので、そちらと交換する
とりあえず刺してみるが、太すぎてまったく入らない。ブリッジの穴を広げるかピンを削るか、結構悩んだ挙げ句、ピンを削って細くした。
途中までペーパーで削ってたけどムリすぎて電動ドリルに砥石の頭を付けてそれを万力に固定し、ベルトサンダーみたいにして削った。*3
総括
というわけで、なんか修理して改造してを1ヶ月ほどやってきた。
まぁ当初このギターでやってみたかったことは一通り終えれたので、これで一段落である。
コイツの今後のことは考えていないが、またなんか思いついたら良い土台になってくれるだろう。
一つ惜しむらくは、私は今寮に住んでおり、コイツを弾いてやれないことだ。それどころか、実は生音楽器は全て持ち込み禁止物に指定されている有様である。
バレたら、ちょっとまずいのだ。
たまにはスタジオでも行ってみようかな。
*1:オールマホガニーと公式にも書いてあるが当然全部がマホなわけではない。少なくとも指板やブリッジ、ブレイシング材は違う。
*2:https://www.amazon.co.jp/dp/B01MXW8Y33/
*3:危険なので絶対に真似してはならない。真似するときは指差し確認「ヨシ!」を忘れずに。